まだまだ寒い日が続きますが、お正月三が日も終え、次は立春に向けて節分の準備が始まりますね。こんにちは、ゆいリビングスの樋口です。今回は、同じものはひとつとしてない唯一無二の張り子である神戸須磨張り子をご紹介いたします。
全国で、ここにしかない張り子
張り子は、全国各地に多数存在する郷土玩具。一般的に、張り子は型を使って作られるため同じ作品がいくつも生み出されますが、神戸須磨張り子は1点ずつ、張り子職人・吉岡武徳さんの手仕事から生まれるのが特徴です。このたび、神戸須磨張り子の魅力や工程をこの目で見てみたいと思い、吉岡さんの工房兼作業場である「すま張り子館」を訪ねました。
大小さまざま、色とりどりの張り子が迎えてくれる「すま張り子館」は、神戸の六甲山地西部に位置する再度山(ふたたびさん)のふもとにあります。自作の型を用いて張り子を作るのが、吉岡さんならではのスタイル。「すま張り子館」には、石で型をとった変わり張り子(写真の人形)や陶器で型をとった張り子(写真の鳥)があり、和紙で人を幸せにしてくれる吉岡さんの張り子はどれもかわいらしく、愛おしい気持ちにさせてくれます。
「神戸須磨張り子」ができるまで
「神戸須磨張り子」は、いくつもの工程を経て誕生します。まず、型に和紙を貼り重ね、8~9層分繰り返します。型に和紙を貼り終えたら型から取り外し、再び和紙を貼り合わせます。次に胡粉(ごふん)といわれる白い顔料を塗り、フリーハンドで顔料を絵付けして仕上げます。和紙として使われるのは、江戸時代末期~明治・大正時代にかけて手で漉かれた和紙本・反古紙(ほごし)。特別な素材から生まれる張り子はすべて、見るからに愛情あふれる出来栄えです(写真は左から型、型抜きしたもの、胡粉を塗ったもの、絵付けをしたもの。手前は反故紙)。
きっかけは、家族の健康を願う気持ち
吉岡さんが張り子を制作するようになったきっかけは、民芸品を集めていた奥様のお母様が病気で伏せっていたところ、新しい人形を増やすには作るしかないと思い始めたこと。張り子は城下町生まれの民芸品なので、神戸にはもともと存在しませんでした。明治の終わりから大正にかけて、神戸・新開地(しんかいち)で高松張り子の作家の1人が神戸だるまを作って外国人向けとして売っていたと伝えられており、吉岡さんはその神戸だるまを3年前に復元されました。さらに、創作張り子だけでなく、年代ものの張り子の復元製作も手がけているそうです。
節分、ひな祭り飾りは「神戸須磨張り子」を
現在、「鬼は外、福は内」と豆をまく節分飾りにぴったりの、吉岡さんが作ったおたふくや鬼の面が入荷しています。鬼と言えば怖い形相を想像してしまいますが、吉岡さんの鬼面は迫力がありながらも、どこかユーモラスな表情。福を呼ぶおたふくもキュートな愛嬌があり、吉岡さんの張り子を飾っていれば、必ず福が舞い込みそう。今年の節分は、みなさんのお家にも吉岡さんの節分張り子を飾ってみてはいかがでしょう?
※節分のお面、おひなさま張り子はいずれも一点ものにつき、在庫限り。