変幻自在に形を変える
私たちの生活にあったふろしきの活用法

2020年、この夏は例年以上に暑さが厳しく体にこたえますね。健やかにお過ごしでしょうか?こんにちは、ゆいツアーデスクコンシェルジュ・出野上(いでのうえ)です。

2020年7月1日から、一部の店舗を除いて、レジ袋は有料になりました。以前からエコバッグをお使いの方もいらっしゃると思いますが「買ったものとサイズが合わない」「安定性がない」「出かける際にうっかり忘れる」「かさばる」「衛生上、汚れが気になるけど洗ってもよい?」などいろんな不満や疑問が生まれるのではないでしょうか。7月の講習会は、日本人が古くから使い続けてきた伝統の「ふろしき」の活用方法。「むす美」の山田悦子先生から、いろんな結び方を教わりました。

ふろしきは正方形じゃない?

色鮮やかで、絵画のようなふろしき。正方形だと思われがちですが、実はいろんなサイズがあるとのこと。「反物の幅は【一巾(ひとはば)】で、昔ながらの織機で織る際のサイズです。ふろしきは【二巾(ふたはば)】が多いです」と山田先生。二巾の他には金封やお弁当を包む半巾や、布団をくるむ大きなものも。また、ふろしきの丈(縦)と巾(横)では収縮率が違い、伸びる特性のある巾は伸びにくい丈より短く作られているそうです。ぜひ一度、ご自宅のふろしきを広げて見てくださいね。

全体に魅せる総柄か?小技を利かす主柄か?

まず、今日お持ち帰りいただく二巾のふろしきを選びます。古典柄やモダンなもの、幾何学的なもの、小花がちりばめられたものなど…「全体に絵模様があり、どの部分が表に出てもきれいな総柄と、右下の隅に絵柄が描かれ、包んだ時に上に出てくる主柄と2タイプがあります。包むモノや包み方で選んでくださいね」と山田先生。松竹梅が仕掛けのように施された模様や、斜め半分で全く配色が違うため包むことで変化が生まれる片身柄など、柄や構図で雰囲気ががらりと変わるので、迷いながら楽しく選んでいきます。

まるで魔法⁈ふろしき七変化

次は、さっそく実践です。のしで包んだ菓子折りを持ち運ぶ際の、基本の平包みにチャレンジ。ふろしきをひし形に広げ、その真ん中に、のしが自分から見て左に来るように菓子箱を置きます。手前にある布を上へ、左から右へ、右から左へ、最後に上から手前に来るようにかぶせて、柄が相手に向くように持ちます。平包みにすると、ふろしきの柄がきれいに見えるので、シンプルでありながら格の高さがうかがえます。

平包みの次はケーキやお惣菜を運ぶのにぴったりのしずくバッグに挑戦。しずくバッグの持ち手を結ぶと、コロンとかわいらしいお出かけバッグや、スーパーで早速試してみたいレジかご結びに変身します。

何かを包むだけでなく、寒さや雨から体を守ったり、ウエストポーチ風に使えるなど様々に応用できること、用途に合わせた結び方を何通りも教わりました。

「包」は、お母さんを表している

「【包】という象形文字は、お母さんのお腹の中の様子なんです。赤ちゃんを守るように、中身を守る。それが包むという行為につながっています」と山田先生。言われてみれば、平包みされたお使い物を運ぶとき、すやすや眠る赤ちゃんを抱っこしている格好に似ている気がします。
「レジ袋やエコバッグは、モノを入れる。けれどふろしきは、モノを包む。入れると包むじゃ、ニュアンスが違うんです。半紙や懐紙に包む、ふろしきに包む、そんな日本古来の精神性も含めて敬いたいのです」と山田先生は語ってくださいました。

最後に山田先生から華やかなお花包みを教わって、それぞれのふろしきに花が咲いたよう。

丸や四角などどんな形にも変わり、体に沿うので雨の日も濡れにくいふろしき。ふわっとまとうことで雨風から体を守ったり、旅先で荷物が増えた時にもさっと包めて便利だなと再認識。テーブルクロスにして部屋の雰囲気を変えたり、急な来客時に見せたくないものを覆って隠したり。かさばらず、洗うこともできるので、もっと日常的にふろしきを活用できたらすてきだなあと思います。


 

ゆいツアーデスクでは、旅と暮らしを彩る様々な講習会を毎月開催中。まだ空席のある講習会もございます。詳しくは、ツアーデスクまでお問い合わせください。

前回の「心を包む文化を今に伝える風呂敷の上手な使い方講座 体験レポート」はこちら

山田 悦子

京都のふろしき製造卸業・山田繊維株式会社とオフィシャルショップ「京都和文化研究所むす美」のアートディレクター、広報を務める。風呂敷の魅力、日本文化の素晴らしさを伝える講習会を国内外で開催。『ふろしきハンドブック』『はじめてのふろしきレッスン』など著書多数。

リンク:http://www.kyoto-musubi.com

真結の旅

私達がつくる“いまだかつてないバス旅”、 それが「真結(ゆい)」であり、風呂敷の結び方である“真結び(まむすび)”から由来したものです。 “本物”の旅を身体と心で感じていただき、そしてその感動をお客様が共有(結びつき)していただける“こだわり”のツアーブランドです。 観光地やお食事、そしてお宿と、“こだわり”だからこその工夫や心づくしを凝らしますが、決して“本物”=“高級”ではなく、質素な中にも“本物”を追求した旅程を、経験豊かなプランナーがご提案いたします。