さわやかな風が心地よい季節となりました。こんにちは。ゆいツアーデスクコンシェルジュの出野上(いでのうえ)です。
あたたかな日差しに誘われて、鮮やかな色の花たちが咲き始める頃、ご自宅にも春を取り入れていただこうと、お部屋に飾りやすいサイズの、たまごの殻を器にした寄せ植え教室を開催しました。2018年9月に開催した「苔玉つくり講習会」の講師、苔玉作家の井上浩恵先生に教わりながら、植物と向き合い、小さな世界に春の風景を作り出す講習会の様子をお伝えします。
たまごの殻とのご対面
寄せ植えの器に使う「たまごの殻」は、特別なものではなく、スーパーで当たり前のように目にする普通のたまごを使用されているそうです。白の殻を1つ、そしてほんのりと食紅で染色された色つきの殻から1つ選び、合計2つの殻を目の前に置きます。
たまごの殻の底には、根腐れしないように、水の通る穴がキリであけられています。
球根を水耕栽培するときに使うような、少しくびれがあるガラスの器にたまごの殻をセットし、
いよいよ寄せ植えに進みます。
植物の土台つくり
まずは、通気性や排水性を高め、根腐れなどを防ぐために殻の底に「鉢底土(はちぞこつち)」を入れます。たまごの殻のサイズに合った小さな石でできた鉢底土を、殻の1/4ほど入れます。作業するときは、割れないように小さいスプーンを使うのがおすすめ。
次に、鉢底土の上に乗せるのが、腐葉土(ふようど)と呼ばれる土。土の中にいる微生物の働きによって葉や枝が分解されてできた腐葉土は、通気性、保水性に優れ栄養豊かなので、植物を上手に育てるのに理想の土だそう。あらかじめ、井上先生が配合されている腐葉土(小粒の赤玉土5:鹿沼土2:完熟の腐葉土3の割合)を殻の7分目まで入れます。
小さくて愛らしい、春の植物えらび
土を入れたら、次は好きな植物を選びます。
可愛らしい小花をつけた「デイジー」や、まるでその姿が蛍の光をイメージさせる「ハナホタル」、小さい花が愛らしい「雲間草(くもまぐさ)」、白や水色の小さい花がたくさん咲く「ヒナソウ」、「タイム」や「ローズベリー」のような香りのするハーブや、「セダム」や「カランコエ」などの多肉植物など、春の草花がずらりと並びます。
2つの殻のうち、1つは春の草花をメインにし、仕上げに苔を使い、もう1つは多肉植物をメインに、仕上げに白い細かい砂を乗せて可愛らしく演出しましょうと、井上先生。
植物ひとつひとつ名前を聞きながら、たまごの殻にどれを寄せ植えしようかと、悩むのも楽しい時間。好きな植物を選んでいくと、あれもこれもとなってしまいますが、寄せ植えの際に大切なのが、最初から植えすぎないこと。植物は必ず成長するので、最初からすき間なく植えてしまうと少し成長しただけで卵の殻内で根が伸びて、すぐに割れてしまうおそれも。ちょっと物足りないくらいが、ちょうどいいそうです。
植物を選んだら、スプーンや竹串をうまく使って、たまごの殻内に寄せ植えし、殻の9分目まで培養土で埋めていきます。途中水を加え、湿気を保ちながらなるべくたくさんの培養土を、殻に押し込むように入れていきます。
仕上げは、苔か砂で
たまごの殻に寄せ植えが完成したら、最後の仕上げに取り掛かります。
春の草花を植えた殻には、苔で仕上げる前に、苔玉土と呼ばれる苔がくっつきやすい粘り気のある土をかぶせます。(苔玉土とは、ケト土と培養土を1:1で混ぜたもの。詳しくは「暮らしに、苔を。小さな秋の苔玉つくり講習会レポート」をご覧ください。)
そして、その苔玉土の上に苔を乗せて完成です!(今回は、スナゴケを使いました。) もう一つの多肉植物の寄せ植えには、仕上げに小さい白い砂を乗せて出来上がり。
参加者の作品をテーブルに並べ、皆様で記念撮影を。一つとして同じものはなく、それぞれに個性豊かなかわいらしいたまごの殻が並び、今日の記念にと、たくさん写真に収めました。
皆様のご自宅では、完成したたまごの寄せ植えが、きっと可愛らしく飾られていることと思います。命あるものと向き合い、育つ喜びを感じる。日々の成長がとても楽しみですね。これからも、季節を取り入れたさまざまな講習会を企画していきます。またのご参加をお待ちしております。