暮らしに、苔を。
小さな秋の苔玉つくり講習会レポート

朝晩の気温が冷え込みはじめ、いよいよ秋が深まりゆくのを感じます。こんにちは、ゆいツアーデスクコンシェルジュの亀谷です。

突然ですが、苔、お好きですか?日本庭園や清流の苔むした岩、森の中にひっそりと広がる苔の絨毯…苔のある風景を見ると心穏やかになるのは、私たちのDNAが苔を日本の原風景を構成する大事な要素だと感じるからなのかもしれない、とわたしは思うのです。

このたび、そんな苔を使った苔玉つくり講習会を開催しました。小さな苔玉は、場所を取らず、インテリアとしても暮らしに取り入れやすく、それでいて四季折々の風景を味わうことができます。苔玉作家の井上浩恵先生に教わりながら、植物と向き合い、土とのふれあいをお楽しみいただいた講習会の様子をお伝えします。

土に触れる

まずは、苔玉の土台となる土のかたまりに触ります。これは、水辺の植物が枯れて水底にたまり、長い年月をかけて粘土状に変化した「ケト土(ケトつち)」と、肥料などを混ぜ合わせた「培養土(ばいようど)」を1:1で混ぜたもの。「ケト土」は、園芸店などで販売されているそうで、「培養土」は井上先生オリジナルのレシピ(赤玉土(あかたまつち)5:鹿沼土(かぬまつち)2:腐葉土(ふようど)3)で作られています。

ラップを外した土を手の平でころころ転がしながら、作りたい形に整えます。ふだんはなかなか触れる機会のない土の感触を「気持ちいいね、おはぎみたい」と会話も弾み、円形、横長や縦長の楕円形など、様々なかたちの土台が出来上がっていきました。

植物と出会う

今回のテーマは、秋の風景をつくること。赤や黄に紅葉するイチョウやモミジ、メープルなどの落葉樹をメインに使用します。落葉樹の赤ちゃんの他、2種類ほどの草花がセットされたポットをひとつずつお渡しし、植物を取り出して土をほぐし、根についた土をはらい落とします。この時、あまりにも根が伸びすぎているものは苔玉に収まるサイズにカットして、根の剪定をおこないます。

形が決まったら、裏返した鉢のうえに土台を置き、根を剪定した草花から植えていきます。ハサミを使って苔玉に穴をあけ、植物の根を入れて包み込む際は、思い切って、がばっと土を開けるのがコツ。植物の根っ子を、土の中にしっかり入れていきます。メインの落葉樹は冬になると葉が落ちてしまいますが、その間はわき役の草花が楽しませてくれますし、3月末頃になると落葉樹からかわいらしい新芽が出てくるとのこと。四季折々の風景を楽しめるのが、苔玉ならでは。さらに秋の風景をつくるために草花を選ぶ際、どの植物をどれだけ使うかは人それぞれのお好みでよいですが、あれもこれもと欲張りすぎると植物が成長した時に苔玉が窮屈になってしまうため、ちょっと少ないかなと感じるくらいがちょうど良いのだそうです。

苔で、包む

ピンクの花を咲かせる「タデ」や小さな青い花が愛らしい「ツユクサ」、「猫じゃらし」など思い思いの植物を選んだら、いよいよ、苔を貼る段階に。今回使う苔は「シノブ苔」。準備された乾燥苔に霧吹きで軽く水を与えると、苔がみずみずしくよみがえります。よみがえった苔を、ハサミを使いながら苔で土全体を包み込むように少しずつ貼っていき、土の黒色が見えなくなったらOK。

糸で、巻く

けれどそれだけでは剥がれ落ちてしまうので、木綿糸50番を使って苔を巻き付けていきます。ゆるいと苔玉の中身が崩壊してしまうため、草花の間にも通しながらきつくしばるのがポイント。あらかじめ、木綿糸を30cmほど残しておくと、最後に結ぶ時に役立ちます。糸を巻き付けていくうちに、はじめに配置した草花のバランスとは変わってしまった!という声もあがりましたが、それも苔玉制作の楽しさ。ぎゅっぎゅっと手で押さえながらゆるみがないか確認し、最後の糸を最初に残した糸と結んだら、苔玉の完成です。

毎日、愛情を注ぐ

完成した苔玉を見ながら、苔玉の育て方やメンテナンスについても教わりました。毎日1回、苔玉ごと水に浸します。ぷくぷくと出てくる水泡がなくなるまで、およそ3分間。少し水切りをおこなえば、OK。置き場所は、明るい窓辺が最適です。苔玉の生育に大切なのは、日光・水分・風通しの3要素。直射日光に当てる場合は苔玉の1/3ほどを水につけておき、真夏の暑い日にはできるだけ直射日光を避けることが重要です。

苔玉をつくって2週間ほどすると、ぐっと苔むしてくるとのこと。徐々に、違った表情になっていくのが楽しみ、という声もあがりました。1カ月半くらい経つと、巻いた糸が切れるなど、少しずつゆるくなってくるそうです。その時はしっかり糸を巻き足して、メンテナンスを。苔がはがれてきた場合は、今回つかった「シノブ苔」の他に、日光に強い「這苔(ハイゴケ)」や「砂苔(スナゴケ)」がおすすめだそうです。山野草を扱っている園芸屋さんや、インターネットでも購入することが可能とのこと。日々の成長を楽しみながら、末永く楽しめたら嬉しいですね。

月1回、ゆいツアーデスクで開催している講習会も、2018年10月で丸1年を迎えようとしています。これからも皆さまの暮らしが豊かになるお手伝いができればと願っています。どうぞ、ご期待ください。

hoamai 井上 浩恵

寄せ植えアーティスト・苔玉作家。阪神・淡路大震災の後、ハーブに癒されたのがきっかけで植物を育てる楽しみを実感する。2000年から苔玉の伝道活動をスタート。オリジナルの苔玉や寄せ植えを制作すると共に、教室では土や緑と触れ合うことの楽しさ、大切さを広めている。神戸在住。

リンク:http://blog.livedoor.jp/hoamai/

真結の旅

私達がつくる“いまだかつてないバス旅”、 それが「真結(ゆい)」であり、風呂敷の結び方である“真結び(まむすび)”から由来したものです。 “本物”の旅を身体と心で感じていただき、そしてその感動をお客様が共有(結びつき)していただける“こだわり”のツアーブランドです。 観光地やお食事、そしてお宿と、“こだわり”だからこその工夫や心づくしを凝らしますが、決して“本物”=“高級”ではなく、質素な中にも“本物”を追求した旅程を、経験豊かなプランナーがご提案いたします。